私が、発達の遅れや障害に興味を持つようになったのは、今からかれこれ40年前のことです。
当時大学生だった私は、自閉症やダウン症のお子さん達と遊ぶというボランティアに参加し、なかでも、ことばの遅れや発達に強く興味を持ちました。
それゆえ、大学では臨床心理学を専攻し、卒業後は言語聴覚士の養成課程に進みました。そして80年代も終わる頃、さらに専門的に学びたいと感じ、アメリカに留学する決心をしました。
言語病理学の発祥地とされるアイオワ大学では、博士課程在学中に、発達障害児・者の問題行動を専門とする大学病院内のクリニックで、ABA理論とそれに基づいた臨床に携わりました。
それ以来20年近く、病院や通園施設などの専門機関で、さまざまな臨床経験を積みました。
特に、ニューヨークに移ってからは、5年ほど早期介入専門機関で、クリニカル・スーパーバイザーとして、乳幼児にABAの家庭療育を行うセラピストの養成・指導に携わっていました。 現在、東京ABA発達支援協会で行っている療育活動は、この時の経験を基盤にしています。 ABAによる療育は、欧米では、自閉症スペクトラム(Autism Spectrum Disorders)のお子さんに非常に高い効果があるというエビデンスが確立され、一般的にも受け入れられていますが、日本ではまだまだ知名度が高くありません。 それでも最近は、日本でもABA療育に興味を持たれる親御さんが随分増えたと実感しています。
しかし、ABAの専門的な訓練を充分に受けたセラピストはまだまだ稀少で、「ABAのような」「ABAに似た」療育をしていることも多く、その成果にばらつきがあるのは否めません。
私たちのセンターでは、30年以上の臨床経験がある専門家が、お子さんの成長を着実に、効果的に導きます。こちらでは、お子さんのご家庭ではなく、あえてセンターに通って療育を受けていただくことで、スーパービジョンを行き届かせ、療育の質を一定に保ちながら、お子さんの日々の変化に、即座に対応するように努めています。
今までに通われたお子さんのほとんどが、1~2か月で目覚ましい成長を見せてくれ、このような療育の成果について、私たちは大変心強く感じています。
また療育開始の時期ですが、もちろん、ある年齢以上になると成果がないということはありませんが、これまでの臨床経験から、「the earlier, the better (早ければ、早いほど良い)」 という傾向は確かです。
小さなお子さんにとって数カ月はとても長い時間です。2、3カ月そのまま様子を見るということで大切な時間が過ぎてしまいます。
療育を始めるのに、「まだ早すぎる」 ということは決してありません。 もし何らかの発達の遅れや偏りに気付かれたら、お子さんの貴重な時間を無駄に過ごさず、迷わずにご相談ください。
またABA療育を始めて、すでに半年も経つのに、あまり成長が感じられないというのであれば、なんらかの問題があると思われます。迷わずにご相談ください。
一般社団法人 東京ABA発達支援協会
代表 橘川佳奈, MA, BCBA, TSHH
元・帝京短期大学こども教育学科 准教授
昭和女子大学人間社会学部 兼任講師